X100VにWCL-X70を装着したレビュー
FUJIFILM X100シリーズには専用のワイドコンバージョンレンズ(ワイコン)「WCL-X100」があります。これを装着すると、35mm(35mm判換算、以下同)のX100が0.8倍の28mmになります。同じくX70にも専用のワイコン「WCL-X70」があり、28mmのX70が0.75倍の21mmになります。
どのワイコンも対応機種専用ではありますが、どちらのカメラもフィルター径49mmなため、実は相互に利用可能です。
この記事では、「X100VにWCL-X70を装着して撮影すると画角や画質はどうなるのか」を簡単に検証してみました。ちなみに、WCL-X100は持っていません。買った。(買っただけ。)
- ワイコン補正オン
- Provia
- 長辺1152px、品質75~85で圧縮
装着感
装着すると4.5センチくらいレンズが飛び出します。X100Vのコンパクトさ(と言うほどコンパクトでもない)はスポイルされ、重くなります。そしてねじ込む手間と補正オンにする手間。もう普通にミラーレスとパンケーキレンズを買った方が良いのでは……。
画角の違い
焦点距離を計算すると、 35mm × 0.75 = 26.25mm です。撮影時はワイコン補正をオンにするため、実際の画角はもう少し狭くなります。正確な計算はできませんが、以下の比較からすると0.78~0.8倍程度でしょうか。なお、風景画像は手持ち撮影のため、それなりにずれています。






おー、広い。一般的なスマホカメラの28mm前後と同じような感覚で撮影できます。ケラレもないようです。
ワイコン補正オンとオフの違い
歪みがわかりやすいよう、被写体から約40cmの距離より撮影しました。補正オフ時の歪みがよくわかります。補正オンでも若干歪んでいますが、近距離、直線的な被写体を除けば概ね気にならない程度でしょう。風景撮影なども問題はなさそうです。
ちなみに、ファインダー切換レバーの「Fn2ボタン」に「コンバージョンレンズ補正」を割り当てると操作が楽です。
画質をチェック
フォーカスエリアを拡大(クロップ)して比較します。X100シリーズは代々開放がほわほわと緩い描写でしたが、Vは開放から概ねシャープに写るようになりました。
まずは開放F2.0です。
うーん、ピントは合っているはずなのですが、滲んだような描写で解像力が落ちているようです。X70専用なので、当然と言えば当然の結果です。
次はF2.0からF4.0まで順に絞っていきます。 (タブではなくスライダー式にすれば良かった。)




































F3.6から4.0くらいまで絞れば概ねシャープに写るようです。ある程度絞り込む場面、特に風景撮影などは問題なさそうです。
最後に、曇りの日の薄暗い室内でISO12800を試してみます。












装着時は花びらの凹凸が若干潰れているように見えますが、これは画角が広いせいもあるかもしれません。発色も少し弱くなるようです。
画像補正で滲みを軽減
特に開放付近での滲みが目立ってしまうことがわかりました。そこで、RAW FILE CONVERTER EXとカメラ内設定でシャープネスを強めにかけて補正してみます。それぞれフォーカスエリアの拡大画像です。
ソフトでの補正や、撮影設定をシャープネス+4で撮影するとある程度は補正されるようです。「明瞭度」で試すのは忘れてた。(ちなみに、明瞭度の処理が遅く、処理中は一切操作不可になることはX100Vのダメな点でもあります。)
バルブ撮影
最後は、星空をバルブ撮影します。カメラ設定は共通して、Velvia、WB Auto、シャープネス+4、カラー+1、長秒ノイズ低減オフです。星景で使われるような合成はしていません。なお、同じ比較タブ内でもそれぞれ撮影した時間や場所は異なります。






※装着時の角がケラレている画像は、ワイコン付属のレンズフードを装着したためです。
薄い雲がかかっていたり、マニュアルフォーカスが下手くそなせいもありますが、やはりワイコン装着でシャープさが失われるようです。星の色も薄くなっています。

最後の一枚は周辺部の拡大です。装着時はコマ収差が現れやすくなるようです。
まとめ
良い点
- より広い画角
- より安価な中古価格 ※場合による
- AFの静音化
悪い点
- 重い
- 着脱の手間
- 補正切り替えの手間
- 若干歪む
- 画質(解像力、発色)低下
- 傷がつく
若干の歪み、特に解放付近の画質低下、重さ、着脱や補正オンの手間を気にしなければ、概ね問題なく撮影できます。あくまで体感ですが、オートフォーカスが遅くなったり、レンズがワイコンに接触したりということもありません。また、中古価格を比べてみると、WCL-X100は1~1.5万円程度、WCL-X100 IIは1.9万円前後、WCL-X70なら1万円前後、と比較的入手しやすい(ときもある)というメリットもあります。その他のメリットとしては、レンズを覆うことによりオートフォーカスの駆動音が若干静音化されることが挙げられます。なお、静音化だけが目的であれば、アダプターリングとレンズフィルターでも対応可能です。
「少しでも広く撮影したい」、「ちょっと遊んでみたい」という人ならば、買ってみてもいいかもしれません。そうでなければアマゾンあたりで専用のWCL-X100を買いましょう。
注:黒い塗装が少し削れる
何回も着脱を繰り返したせいか、黒い塗装が少し削れてしまいました。リングをつければ見えませんが、傷をつけたくない場合は注意してください。油性ペンかなにかで塗れば隠せる?